工芸菓子について
“工芸菓子”と聞いて皆さんはどんなお菓子を思い浮かべますか。工芸菓子とは、素材はすべて食べられるものからできていますが、花や動物や風景など私たちの周りにある花鳥風月を、写実的に立体的に絵画的に表現したものです。
すなわち一枚の絵画、彫刻なのです!
よく各地で開かれる和菓子展などに行くと、工芸菓子が展示されています。
それを見た人達は、
「わー、これがお菓子で出来ているなんて!」と驚きの声をあげて作品に見入っている姿をよく見かけます。
きっとその人達は、素直にその作品から花の香りや質感、さらには「あ~こういう風景をどこかで見たことがある・・・」というイメージの世界が膨らんでいるのではないでしょうか。
この工芸菓子のページを開くことで、皆さんの想像力を刺激し、更にそれを創り上げた職人の方々のたゆまぬ努力、心意気、そして夢の世界を共有していただけば...と思います。
ここでちょっとワンポイント
この工芸菓子とはいつ頃から始まったのでしょうか?
これらの飾り菓子は、古くから鑑賞用として京都で作られてきましたが、その始まりは、江戸時代の元禄享保の頃(1688~1736)大奥で鑑賞された”献上菓子”にその端を発しています。
明治の初め頃、白砂糖が輸入されてから打ち菓子や有平糖に色や形をほどこすようになり、以後たゆまぬ工夫や努力を重ねて、生砂糖(雲平生地)細工菓子の製法が考案されました。
この京都の飾り菓子が、広く一般に知られるようになったのは、明治23年(1890)東京で開催された、第3回国内勧業博覧会に”籠盛り牡丹”の大作飾り菓子を出品してからであろうと思われます。
そして一般に”工芸菓子”と呼ばれるようになったのは、第2次大戦後のようです。
(「和菓子技法ー第7巻」主婦の友社刊 参照 )